こんにちは。新潟で自動車の登録業務を専門に行っている行政書士佐藤将臣事務所です。

2018年から本格的に各都道府県で順次運用が開始されている自動車登録の電子申請OSS(ワンストップサービス)を当事務所でも導入しています。車の登録を業務にされている同業者の先生方で検討されている方もいらっしゃることでしょう。

本記事ではそんなOSSについて自動車の登録手続き業務としても件数の多い【移転登録】をテーマに、行政書士目線で実際に活用してみて感じたことをつらつらと書き連ねたいと思います。かなり専門的な内容なので車の登録業務をされている同業者の先生くらいしか、あまり役に立たないかもしれません。

ちなみにOSS全体の概要や申請方法といった基本的なことについては、当サイトなどよりもOSSポータルサイトをご覧いただいた方がはるかに理解が深まると思いますので省略します。下記リンク先は外部サイトへ↓

自動車保有関係手続のワンストップサービス:ポータルサイト

OSSでの車庫証明

これについてはOSSを利用するメリットとしては車庫証明の申請地が遠方などの場合、直接管轄地の警察署まで出向かなくてもよいため、その手間が省けるものと思われます。

しかし、これはあくまでも依頼者がすでに配置図を完成している状態であることが前提です。配置図の作成まで依頼された場合現地調査に出向くため、そのついでに警察署に申請書を提出すればよいので結局は・・ということになりますね。

また「車庫証明だけOSS」や「車庫証明は紙申請で取得しておき移転登録のみOSS」といったやり方はできません。OSSの場合、車庫と登録はすべてセットです。

OSSでの移転登録手続き

問題は運輸支局での申請です。OSSはいまのところ

1・事務所のPCから車検証情報や新旧所有者(または使用者)情報を運輸支局へデータ送信する。

これが実質的に従来の紙申請でいう「OCRシート」の作成と「税申告書」の作成にあたります。 ※車庫証明対象地域の場合、同時に車庫証明に必要な配置図や承諾書、自認書の画像データも送信する。

2・運輸支局に車検証、旧所有者の譲渡証明書、新旧所有者の印鑑証明&委任状を持ち込む。

これでようやく運輸支局側での受付がなされます。また運輸支局から管轄の警察署へ車庫証明の申請データが送られ、警察の車庫証明の調査が始まります。

3・事務所のPCなどからネットバンキングへアクセスし順次、車庫証明手数料、登録手数料、自動車税関連を支払う。

車庫証明手数料、登録手数料、自動車税関連とそれぞれ振込みをするのですが、入金後すぐに反映されるわけではありません。それぞれ各部門の担当者が随時確認しているらしく、その確認作業が済まないと、こちらも次の支払いステップに進めません。こちらも随時次のステップに進める常態なのかOSSの「申請状況」を確認することになります。

4・OSSの申請状況が「手続完了」となっていることを確認し再度運輸支局へ出向き新車検証を受領。

すべての手数料の支払いが済んで正常に手続きが完了し、新しい車検証を受け取ります。※車庫証明が伴わない移転であればこれで手続き終了

5・管轄の警察署か本部へ出向いて車庫証明の本人控えとステッカーを受領。

車庫証明の受け取りは一番最後になります。

・・という流れになっています。ちなみに紙の申請ならば・・

1・車庫証明を管轄の警察署へ申請。約1週間後に車庫証明を受領。

2・車検証、譲渡証、印鑑証明、委任状、車庫証明をもとにOCRシートと税申告書を作成し、登録印紙(500円)を貼付。

3・運支局へ書類一式を提出、数分~数十分程度待ったのちその場で新車検証を受領。

という流れですよね。もうお分かりだと思いますが、紙の申請ならば1回で済むところ、OSSは最低2回運輸支局へ出向かなくてはなりません。しかもPCからも申請手続きのデータ送信と手数料納付手続で2~3回、オンライン上でアクセスすることになります。

また、紙の申請ならば支局での申請時にOCRシートや税申告書などの軽微な書き損じがあっても、その場で訂正可能ですが、OSSの場合、再度PCからデータを送信する必要があります。

OSS移転登録の現状と今後について(私感)

車庫証明については、やり方次第ではOSS申請を活用することでスピーディーに出来るケースもあります。

ただし原則的に印鑑証明など、重要書類をすべて運輸支局に提出してから車庫の調査も開始されます。このため「印鑑証明や委任状はまだそろっていないが、日数を要する車庫証明を先行して申請しておく」ということが出来ません。実際に車の登録業務をこなしている方なら実感されていると思いますが、移転の場合このケースの方が圧倒的に多いのではないでしょうか。

正直なところ現時点では移転登録申請の全体的な流れとしては、あまりOSSを使うメリットが感じられないという実感です。(というか、紙の申請よりも一連の流れが煩雑なのが本音です・・)

最大のネックは①支局へ旧車検証ほか書類一式を提出、②PCでネットバンキングから手数料を納付後に再度支局へ出向く、という2段階構造が原因なのですよね。

車庫証明についても申請は警察署へ出向く手順をスキップできますが、結局のところ本人控えとステッカーは警察署に出向いて受領する、というのも課題です。OSS(ワンストップサービス)と謳いつつ、運輸支局の窓口一か所のみで完結できていませんよね?

今後のシステム改善に期待

今後OSSのシステムについては個人的に以下の点の改善を期待しています。

①手数料の納付システムについて

国交省の手数料納付のシステムと行政書士の金融口座やクレジットカード等を事前登録することで紐づけし、

―― 旧車検証&印鑑証明など書類提出 → その場で手続き完了&車検証交付 → 手数料は事前に登録した行政書士金融口座から自動引き落としorクレジット決済で支払い ――

これならば一発で手続きができるので、OSSでの移転登録を活用できるケースは現在よりも格段に増えるでしょう。移転で車庫証明不要&自動車税(環境性能割)不要なケースは結構多いのです。

②車庫証明の本人控え&ステッカーの受領について

前述の車庫証明の交付についてもやはりワンストップと謳っている以上は警察署と連携し、新車検証と併せて運輸支局で交付すべきではないでしょうか。これは移転登録に限ったことではなく、新規登録や住所変更登録についても言えるでしょう。

本記事については今後も更新していく予定です。※最終更新日2020.7.12

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